季節の点心 「弥生の点心」

季節の点心-『観桜弁当』

日本伝統食文化協会は、今後一年がかりで季節の点心をお目に掛けていきます。また毎回『器使い』にもこだわって参りたいと存じます。

点心とは茶席で出され、時々の旬菜を一膳に盛り込み季節感を表します。懐石料理ほど重くはなく、「虫養い」や「虫抑え」程度の軽いもてなしという意味も持っています。

そして、4月のテーマは『観桜弁当』。

「久方の 光のどけき春の日に しず心なく 花の散るらむ」

桜といえば、多くの方が思い浮かぶ歌だと思われますが、この歌こそ多くの日本人の心を余すところなく表現した歌なのではないでしょうか。

この季節に相応しい風情をもたせ、量よりは質をと考えた点心を、花の下に持ち出して召し上がってもよし、茶会のお凌ぎにされてもいいよう『三段の弁当箱』に詰めました。

観桜には欠かせない和酒にも添うような献立です。

【献立】

●一ノ段:出し巻玉子、鶏八幡巻、桜鱒、鴨ロース、春蘭、花蓮根、筍木の芽焼き、桜百合根、こしあぶら、紅芯大根

●二ノ段:新じゃが、新玉葱、巻笹巻麩、飯蛸、巻麩、プチトマト、桜人参、芽キャベツ、姫栄螺、赤蒟蒻、蕗青煮、花弁百合根

●三ノ段:ばらちらし(海老、小肌、烏賊、穴子、蕨、グリーンピース)

●田楽:木の芽味噌、八丁味噌

●椀:玉子豆腐、白魚、桜の葉と花

【器】

●弁当箱: 遠山 三段 輪島 巳ん與 作 山田平安堂

●椀: 花筏文 吸い物椀 輪島 巳ん與 作 山田平安堂

●折敷: 丸形雲錦文 呉藤友乗 作 山田平安堂

●田楽箱: 生地田楽箱 たる源 作

●酒器: 万歴赤絵瓢形桜川徳利 須田 菁華 作

●盃: 白磁 馬上杯 川瀬 竹志 作

料理:丹 敏男(白虹 http://www.byakko.link/index.html)

写真:中村 治(SAM PHOTO http://www.samphoto.jp/)

文章/器提供:田邊 昌(SAJIN club主宰、日本伝統食文化協会副代表)

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